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SS-2-10『聖夜』
微睡みの中で触れ合う肌。
寝息すら愛しい。
それなのに…無茶な抱き方をした。
…ゴメン…。
頬に掛かる髪を撫で付けて…
チュッ…額に口付ける。
触れる頬が熱を持つ。
「…狸寝入り…」
「タヌキとは何だ、失礼な」
…ユキさん起きてる。
「おはよ、ユキさん」
もう一回額にキスを落とした。
「今日は買いたい物がある」
珍しい…街中というか人が大勢いるところ、苦手なのに。
「もちろんいいですよ」
僕とユキさんはコーヒーだけ飲んでクリスマスの町に出掛けた。
平日のクリスマスに二人で出歩く。
しかも昼時。
有給万歳!
「あの…指輪を付けて出勤してもいいですか?」
僕の横を並んで歩く恋人に恐る恐る尋ねる。
「うん」
「やったー!嬉しい!」
「ゴホン…」
ガッツポーズを決め、ヨコカラ咳払いが…ゴメン、はしゃいだ…。
いつでもユキさんの想いに触れられる!
「俺は指に嵌めないけどな」
…何で…ショック…。
隣を見て、歩みが止まる…。
「…衛生上指輪はつけない。その代わりにネックレスに通す」
…ネックレス…!!
「これならいいだろ?」
「それ!僕からユキさんにプレゼントします!!」
ユキさんと手を繋いで貴金属店に急いだ。
強引に店に押し込んだせいかユキさんの視線は冷たい。
「コレ、どうですか?」
ユキさんを宥めるようにして、いろいろ探してみた。
僕が選んだのはプラチナのチェーンが幾重にか重なったタイプのモノ。
「…綺麗…でも高い。却下」
…確かに。
…でも、絶対にユキさんに似合う!
「だ…大丈夫です!ボーナスも出だし」
ユキさんに指輪をもらったお返しと思えば安いもんだ…。
「……」
僕の顔を覗き込むユキさん…
「じゃあ…コレ…」
すぐに顔を反らしてしまったけど、ちらっと見えた横顔は…とても嬉しそうだった。
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