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SS-2-11『聖夜』

「志摩、誕生日おめでとう」 「はい、ありがとうございます」 帰り道、スーパーでチキンレッグ、サラダ、ショートケーキを買ってユキさんのマンションに帰って来た。 「もう誕生日にケーキを食べる年でもないんですけど…」 フォークでクリームを掬う。 「…でも、嬉しいです」 口の中に入れると甘さがふわっと広がる。 「僕、一人っ子なんでイチゴのケーキって年一回しか食べられなかったんです。兄弟がいればあと何回か食べられたでしょうけど」 「…そう?」 「クリスマスと誕生日は一緒にされちゃうし、父親は単身赴任が多いし、母親も仕事が忙しい人だったし…そもそも家でケーキとか…クリスマス位でした」 それも母と二人…。 あれ?結構寂しい子供時代? 「今は俺がいるだろ」 「はい、ユキさんが一緒に居てくれて嬉しい…」 あ…涙が…ずずっ…。 「そうだネックレス!つけましょうよ」 手のひらで涙を拭った。 ユキさんが箱から取り出して…僕が首に着ける。 「出来た!」 ユキさん色白でこの繊細なデザインがよく似合う!! 「…ん、ありがとう…」 白く輝くチェーンを指でなぞる。 ユキさんの表情がふっと優しく緩んで、僕は、あぁやっぱりこの人が好きだな、と思った。

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