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SS-2-13『聖夜』
…闇の中を漂って…
…暗い…どこ…?
体の自由がきかない…
…呼ばれてる…?
「…し…ま…」
…誰…?
「…もう…いいよ…」
…何が…?
「…自由…になっ…て…」
懐かしいような、優しい光に包まれてふわっと体が浮いた…ような…気がした…
顔に雨…?
光を感じて目を開けようとするが…眩しくて思うように開かない。
「うぅ…」
掠れた声が自分のものでないように聞こえる。
「…志摩…志摩!」
あ…先輩の声…
「…ぇ…あぃ…」
「志摩ぁ…うぅ…」
先輩泣いてる。
僕は無事だから
泣かないで…
そう、伝えたいのに
声が出なくて
両手で僕の頬を挟み込んで
涙の雨を
たくさん降らせて
ただ
僕の事だけを
想ってくれるあなたが
僕は
大好きで
泣き止んで欲しいのに
僕の為だけに
涙を流すあなたが
とても
愛しい
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