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SS-4-2『温泉に行こう』
「柿崎さん、あの〜有給使いたいんですけど…」
昼休みに入る直前、僕は温泉旅行の為の休暇申請をしにウキウキと柿崎さんに話しかけた。
「んぁ?あぁ…柴から聞いてる」
先輩が前もって話を通してくれてることにちょっと感動。
「じゃあココに押印して、で、部長に提出」
「了解、ありがとうございます」
ふんふ〜ん、と鼻歌混じりで三階の先輩の元へ。
階段を一段飛ばしで降りながら、今日の柿崎さんちょっと元気無かったな、などと思う。
「先ぱぁ…いって!」
体が、開ききらない扉にどん、とぶつかった。
自動ドアめ…毎度の如く行く先を邪魔する…。
「志摩ちゃん、いつも言ってるけど壊さないでね」
「は〜い。田中さん、先輩は奥ですか?」
ん?田中さん、僕をじっと見てる…何で?
「あ…うん…今日は本社に出向いてるよ」
田中さんが僕から視線を逸らした。
は?何で?どうして?
「聞いてない?」
「…ない…です」
しゅん…。
先輩、朝一緒に出勤したのに…何も言ってくれなかった…。
「戻ります…」
すーっと開く自動ドアにぶつかることなく、僕は部屋を出た。
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