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SS-4-20『温泉に行こう』
「先輩、好きです!愛してます!」
「志摩…」
背中がしなるほど強く抱き締めて想いを吐き出す。
「…だから…別れないで下さい…」
先輩の胸に顔を埋め、どう見てもカッコ悪い僕…。
「ちょっと待て、志摩。別れるって…何?」
見上げれば先輩の眉尻がピクリと動き、若干怒気を含む声。
「僕を置いてアメリカに行かないで下さ…いッた…!」
目から火花が…!
僕の頭を両手で捕らえた先輩がおでこに頭突きをかましてきた。
「どアホ!何見てたんだ!!」
…何って…貴方の全て。
「俺はどこにも行かない」
「ぅ…本当に?」
腕を組み、僕を睨む。
「今更志摩を置いて行けるか!」
「よかったぁ!!」
僕の目尻から雫が落ちた。
安堵の涙か頭突きの痛みか分からない。
「どうしてそんな思考になったんだかな」
「多分僕の…早とちりです」
「俺は志摩から離れるつもりは無いし、万が一そういった事態になったら、一番に志摩に言う」
…カッケーな。
「志摩を…逃がさない」
「うん…縛り付けて…」
ずっと…ずっと、いつまでも…ふたりで…。
膝に乗った先輩が、僕の顎を上げて唇を奪った。
「んっ…ンぁ…」
先輩は僕の口を捻じ開けぴちゃぴちゃと舐めたり吸ったりを繰り返し、小さな火種を大きく育てている。
いつもより熱心に求められている気がしてキスだけで張り詰めていくのが分かった。
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