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第11話 飲み会②

「あーあ。雰囲気悪くしちゃった。」 おちゃらけた様子で話す桐ヶ崎に動揺を悟られないよう、「大事なことだろ。」と返す。 衝撃的な発言の後も隣で平気に飲み食いを再開している。こいつ、性的マイノリティを簡単に暴露しやがった。徐々に偏見がなくなってきているとはいえ、まだまだ当たりは強い世の中だ。それを普通の会話で話してた。俺には真似できないことを難なくクリアしてしまうところがすごい。 今まで女と付き合ってたんだから、桐ヶ崎はバイって事か。どっちもいけるなんて、桐ヶ崎らしいと思うが、彼氏がいる事実を実感していくと、奥に燻っていた嫉妬という火種が大きくなっていく。 俺と同じ男が桐ヶ崎と恋仲になっている。その男と、大学の彼女のようにセックスをしてるんだろう。 想像して先程とは比にならないイライラが心を占めた。その感情が表に出ないように、目の前にあった酒を奥へ奥へ流し込むように呑んでいく。 近くに気の利く新人がおり、お酒がなくなる度に注文をしてくれ、お酒が切れることはなかった。 「栗原飲み過ぎじゃないのか?」 桐ヶ崎が心配そうに声をかけてくる。うるさい。お前のせいだ。好きな奴が女とも男ともヤリまくりのイケメンなのに、叶いもしない恋を何年もして、処女童貞の平凡な俺。惨めすぎる。 「お祝いなんだから、いいんだよ。」 気持ちはお祝い気分もクソもないけどな。明日はオフだ。別に2日酔いになっても誰にも迷惑はかけない。 いつもは飲んでもお酒3杯だが、この日は何杯かわからない程飲んだ。ふらふらして、桐ヶ崎に「タクシー呼んでくれ。」と頼んだことまでは覚えていた。

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