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第19話 事件④

「……ら、栗原!」 「…え」 大声に驚き、目を開けると桐ヶ崎の他にぐるっと何人ものスタッフに囲まれていた。 「気分は?気持ち悪いとか、痛いとか、吐きそうとかないか?」 「え……大丈夫。ない。」 「そうか…。」 心配そうな顔で必死に質問され、圧倒されながらも答える。俺は何故か会社の床で仰向けになっていた。後頭部が少しズキズキとするが、耐えれる痛さだ。 (ってか何で俺寝転んでるんだ?) 不思議に思って、起き上がろうとすると、立ちくらみのようにふらっとして起き上がれない。 「…あれ?」 「栗原起きれないのか?」 「ん、いや。大丈夫だ。」 もう一度試すが、どんどん視野がチカチカとし始めた。立っていられない。 (え、何でだ。) 「栗原、俺の車で病院に行こう。無理し過ぎたんだ。身体が悲鳴をあげてる。」 「嫌だ。まだ仕事が残ってる。」 「もう急ぎの仕事はない。殆ど元の作業量に戻った。大丈夫だ。」 「………。」 事件から3週間が経った。報道は1週間で落ち着き、同じようにアプリ内も機能改善の効果か、報道が落ち着いたためか、元の通報量に戻っていた。言い返す元気もなく、俺はだんまりしていると桐ヶ崎からお姫様抱っこをされる。 「いくぞ。」 「…はあ?」 大きな声を出し、抵抗したかったが大声はでずに些細な疑問を聞き返しているぐらいの音量しかでなかった。バタバタと手足も動かず、身体はゆうことを効かない。社員がわぁと騒いでいるのを聞いて恥ずかしくて死にそうだ。「やめろ」「おろせ」と言うが全く聞く耳を持ってくれなかった。俺はなすがまま、車に乗せられ、病院へ行くことになった。

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