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第6話
何だか甘い良い匂いがする。
ゆっくりと重たい瞼を開けると目に入った光景は信じられなかった。
えっ?
あれ?
夢?
「あっ!目覚ましたよぉ〜。慧吾!目がクリクリしてて可愛いねぇ〜。」
「どけよ!優吾。」
「痛いなぁ〜。本当に乱暴だよね慧吾。そんなんじゃあ、愛しい人に逃げられちゃうんだからね。てか、愛しい人は僕のファンかもよ。」
「なんだと!もう一度言ってみろ優吾!」
「はいはい。2人共いい加減にしろよ。ビックリしてるだろう?愛しい人がさ慧吾。」
うん。
夢だね。
こんな夢ならずっと見ていたいよぉ〜。
このまま夢から覚めませんようにと僕は願いながら3人の会話をずっと聞いていた。
「名前、なんて言うんだよ。」
大好きな慧吾が少し照れた様な顔をして僕の名前を聞いてきた。
うわぁ〜!
今日の夢は最高だよ。
いつもクールな慧吾が照れた表情をするなんて見れないもんね。
「聞こえてるか?」
慧吾は僕の頭を優しく撫でながら心配そうに見てきた。
ずっと夢から醒めないで!!
「君はもしかして慧吾のファンなの?」
僕は寝かされていたソファから身体を起こすとペコリと頭を下げて今の思いを話した。
夢だし恥ずかしくはないのだ!
「あっ・・えっと、はい。僕の名前は七瀬郁です。慧吾が大好きなんです。夢だから言っちゃいますけど今日のコンサートをめちゃくちゃ楽しみにしてて慧吾に逢えるのが嬉しくて鼻血が出そうです。でも・・・起きたら僕はどうなってるかな?まだあのスタッフに何かされてるかな?だったら目を覚ましたくないです。」
一気に言うと慧吾が目を見開き優吾はポカァ〜んと口を開けて愁吾は眉間にしわを寄せていて僕がテレビでは見た事の無い表情を見れて嬉しくなった。
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