8 / 13

第8話

「何だよ。」 「俺の運命の相手だ。」 「嘘つくなよ。Ωじゃないだろ?」 僕は夏樹さんの言葉に相槌を打つように首をブンブンと縦に振った。 僕はβでΩじゃ無い限り運命の相手にはなれない。 「夏樹には分からないか?匂わないかよ。」 「匂い・・・・えっ?微かだがΩの匂いがする。」 「約束守れよな、夏樹兄さん。」 「ハイハイ。社長・・いや親父にはちゃんと話しておくから後日2人で挨拶しに行けよ。」 僕は・・・Ωなの? αがΩを間違ったりしないよね。 「僕は本当にΩなんですか?父親からβだって、ずっとβだと思って生活して来たんです。」 「郁、俺とキスして何か感じなかったか?」 慧吾とのキス? 最初はビックリしたけれど落ち着いたら身体が熱くなってクラクラして来て慧吾しか考えれなくなった。 「考えただけで郁の顔は火照り始めてる。郁、俺と番いになれ!」 「つ・・番いに?」 「俺はお前を守る。ずっと側にいて守り続ける。」 「慧吾・・・。」 嬉しいよ。 でも・・・明樹兄はどう思うかな? お父さんや明久は? 「俺と番いになれ郁。」 慧吾が僕を背後から抱き締めて切なそうな声で耳元で囁いた。 胸が締め付けられるように苦しくて切ない。 慧吾からするイイ香りがさっきよりも濃く匂ってきて何も考えれなくなり無意識に僕は首をコクリと縦に振ってしまっていた。

ともだちにシェアしよう!