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第10話
スタッフさんが呼びに来て3人は楽屋から出て行ってしまい僕は夏樹さんに連れられて座席に戻った。
夏樹さんが心配する明樹兄と明久に僕が具合いが悪くて休んでいた事を説明してくれた。
「体調はもういいのか?郁。」
「うん。心配させてごめんね。明樹兄と明久。」
優しく頭を撫でながら心配してくれている明樹兄に僕はもうドキドキとかしなくなっていた。
ずっと慧吾の事を考えている。
夢じゃないよね慧吾。
「郁?首に・・・それって噛み跡?」
「えっ?何、明久。」
明久の方を振り返ると会場内の照明が落ちて曲が流れ出して来た。
辺りを見渡せば暗闇で担当カラーのペンライトがキラキラと輝いていてそれがまた幻想的に見える。
夢の世界にいるみたい。
ステージの中央から3人がスポットライトを浴びて歌いながら出て来るとファンの黄色い歓声が大きくなった。
僕は夢中でステージにいる慧吾を見ていた。
テレビで観ている慧吾が目の前で歌ってダンスをしている。
かっこいい・・・・慧吾。
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