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第5話
「もう……だめ……」
何度も腰を振らされて青藍は太ももが限界だった。
筋トレしていてもセックスする時に使う筋肉はまた違うのかと冷静な分析をしてしまう。
そういえば警察学校で格闘技を習っている時に教官が下ネタで「いいか、勝つ為には前夜に女の子とするなよ、体力消耗するから」と言っていたのはこういう事かと今更理解した。その後に「男ならいいんですか?」と同期が笑いながら言っていた。教官は「抱くのと抱かれるのも同じだ!」としれっと返していて、その場は爆笑だった。
抱かれるのもこんなに体力使うのか……これじゃあ、確かに前夜にセックスなんてしてられないよな。
ケイレブは青藍の腰を持ち上げ上下に動かす。
「やめ……」
止めろと言っているのに聞いてくれるはずもなく、彼はきっと楽しんでいる。
ケイレブを見下ろすと汗ばんでいるのが分かる。
これだけ動けば汗ばむだろうし、それに顔もさっきより赤くて艶っぽい。
色が白いから余計に赤くなるのが分かる。
自分を犯している男が気になるのも変な話だ。
「いい眺めだな」
ふふと笑うケイレブ。
「そっちも……いい眺めだ……よ」
強がりで言葉を返す。
「お前のその強がり嫌いじゃない、でも、限界だろ?」
ケイレブはまた青藍のモノを掴むと擦りだす。先端に爪を立てると刺激が一気に襲ってくる。
我慢出来ずに喘ぎ声がでる。
「ああ、ここ好きなのか?いま、締まった」
弱みを見つけたケイレブは嬉しそうにそこばかりをわざと刺激した。
結果、青藍はまた果ててしまった。
2回目の射精でぐったりして前のめりになる。
ケイレブの顔の真横に顔を伏せると手のひらが頭の上にきて「ギブアップか?」と聞かれた。
当たり前だろ?と言いたい。
息だけを吐き、返事を返せなかったら、ケイレブは「では、交代だな」と身体を起こして、青藍を組み敷いた。
上になったケイレブは青藍の腰を持ち上げ、先程より激しく動き彼を突きまくる。
「あーーー!!」
一気にきた刺激で青藍は声を荒らげ、婬れる。
ガクガクと身体が震える。
もう、ダメだと何度も言葉にしたがケイレブは止めてくれない。
太いモノが自分を刺激してくる。身体が激しく揺すられベッドも激しく軋む。
そして、奥に熱いものを感じてケイレブを見ると、頬が赤く艶っぽい吐息を吐いている。その綺麗で、セックスしても綺麗な顔の奴は綺麗なのかと思って腹が立つ。
もっと婬れた顔をしてくれてもいいのに。と不満に思う。
ケイレブも果てたようで青藍の中に射精していた。
モノを抜いて青藍の横に同じく寝そべると「なかなか良いハニートラップやれるぞ?」と顔を撫でた。
「結構です!どうせ、殺されるのだから」
「生き恥晒すより死ぬほうを選ぶという事か?」
「そう思って貰って結構です」
「家族のかたきは討たなくていいのか?」
「討つって……アナタの世界だと殺してしまうのでしょうけど、僕の世界ではかたきをとるの方なので殺しませんよ、仕返しはするけど、殺さない」
「揚げ足を取るなお前」
ケイレブはクスクス笑う。
「家族を殺したテロの犯人知りたいんだろ?」
「教えてくれる約束ですよね?まさか、犯すだけ犯して言わない気ですか?」
青藍はケイレブを睨む。
「教えてやるよ、実行犯はお前を売った奴の父親だよ」
「は?」
青藍は一瞬にして頭の中が真っ白になる。先程の快楽で真っ白になるとはまた別の。
「警察が犯人を逃がしてしまったのはそういう事だ」
「……は?うそ……」
そう返すのが精一杯だった。
「お前を売ったやつ、えーと、赤崎だっけ?警察学校の先輩だろ?」
確かに言われた通り、彼は先輩で。面倒も見てもらった。
先に組織に潜入していて、えっ?それじゃあ、彼はここの組織のスパイだったって事?自分はまんまと騙されてここに?
「一応、その先輩の名誉の為に言うなら奴自身も父親が実行犯だと知らなかった」
「えっ?」
青藍の心を読み取ったのかそう教えてくれた。
「世の中はな、お前が思っているより腐っているんだよ、綺麗なモノだけ見れていた子供時代には戻れないし、この世界に入らなかったら見なくて済んだだろうに」
ケイレブは青藍の頭を撫でた。
そして、起き上がるとどこかへ行って、また戻ってきた。
戻ってきた彼の手には酒のボトル。ともう片方は何か握ているように閉じている。
青藍の横に座るとケイレブは閉じている手のひらのモノを口に入れ、そのまま酒のボトルの中身も口に含んだ。
そして、青藍の顔を掴むと無理矢理キスをしてきて、彼の口内へ酒を注ぎ込んだ。
吐き出そうにも口が塞がれていて吐けない。苦しくて、飲み込んだ後にむせた。
咳き込む青藍を抱き込み背中を摩りながら「犯人教えたのだから、これで最後だ」と耳元で囁く。
酒と一緒に錠剤なモノも舌で感じたが飲み込んでしまった。
何の薬だろう?
楽に死ねる薬ならどんなにいいだろう?
「おやすみ」と耳元で聞こえた。しばらくすると瞼が重くなって、そのまま記憶が途絶えた。
◆◆◆◆
次に青藍が目を開けると病院だった。
初めはあの世にも病院があるのかと真剣に考えた。そして、医師から君は保護されて運ばれてきたのだと聞いて生きているのだと実感した。
しばらくはまだぼんやりしていたけれど、警察仲間が事情聴取に来て徐々に感覚を取り戻した。
何故、生きているのか不思議だったが、どうして保護されたかを聞いた。
ガサ入れが一気に入った時、自分が縛られた状態でソファーで気を失っていたらしく、それを現地の警官に保護された。その後病院へ運ばれ、今に至る。
ガサ入れは、内部からのタレコミで一網打尽だったそうだ。
ニュースにも流れていた。
逮捕された組織のメンバーの名前があげられていたがケイレブの名前が無かった。
逃げたのだろうか?
ネットで検索してもケイレブがどうなったかは出ていない。
ケイレブ……はコードネームかな?本名はなんだろう?と捕まった犯人達の顔写真と本名を探していく。
事情聴取で組織メンバーの顔写真を見せられ、色々聞かれたがやはりケイレブは居なかった。
そして、組織のトップは殺されていたと後からニュースに流れた。
一網打尽にされる前に死んでいたらしい。
仲間の裏切りにあったのだろうか?
ケイレブはNo2だった。彼を逃がしてもいいのだろうか?
あの綺麗な男が悔しがる姿も見たいかも……知れない。
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