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第6話
入院は1週間程で良いと言われた。殴る蹴るの暴行を受けていたので検査された時「誰か応急処置してくれてたみたいだね」と医師に言われた。
「えっ?そうなんですか?」と言うしかない。
応急処置?と、考えて一緒に居たのはケイレブで、しかもアイツは激しいセックスを要求してきた。
殴る蹴る受けてたのに、あいつ、ドSかよ?とベッドで点滴受けながら考えていた。
考えていたらドアをノックされて返事をしたら背の高い外国人が入ってきた。
彼は ロシア連邦保安庁を名乗った。
ブルーヘブンは国際的テロ組織だったから、こういう人達も動いているのかと思った。
ロシア語出来ないと固まっていたら流暢な日本語で驚いた。
「日本のアニメ好きなんです」と日本語を学んだ経緯を笑顔で話たので青藍は緊張が解れた。
彼にケイレブの名前を出した。
ブルーヘブンのNo2の男。もちろん、把握していないわけはない。
「彼は捕まっていませんよね?どこへ逃げたんですか?」
「その事で迎えに来たんです、病院からは許可取ってありますから」と言われた。
迎えにきてくれた彼は名前はアイラト言う。
着替えさせて貰って、車に乗り込む。
車内では怪我大丈夫?と心配してくれたり、アニメの話ばかりされた。
連れて来られたのは大きなホテル。
アイラトは受け付けに行き、何か話して青藍を呼んだ。
「スィートルームだって」
そう言われてエレベーターに乗り込む。
スィートルーム……ってこのホテルのスィートルームなら高そう。なんて考えが過ぎる。
どうして、こんな所に?と思っている内に目的の階に着いた。
廊下がフカフカの絨毯で思わず靴を脱いだ方がいいのかな?とさえ思ってしまった。
部屋に着くとアイラトはインターフォンを鳴らす。さすがスィートルーム、インターフォン付き!と青藍は感動。
ガチャと鍵が開く音がして顔を出した男を見て青藍は大声を上げてしまった。
アイラトが思わず青藍の口を塞ぎ「うるさいです」と叱られた。
目の前にケイレブが現れたのだ。
「なん、なんで?えっ?なんで」
挙動不審になる青藍の手を引っ張り部屋の中に。そして、アイラトに「ご苦労さま」と言って紙袋を渡した。
アイラトは凄く良い笑顔で「ありがとう。嬉しい」と言った後に「あの子未成年だろ?未成年に手を出すと捕まるぞ?」と真顔で言う。
「日本人は幼く見えるだけだ」と答えると「えー、そうなの?ティーンかと思ってた、日本ってティーンも警察になれるんだなって」と返ってきて「なれるか!」と言ってドアを閉めた。
振り返ると青藍が怪訝そうな顔でケイレブを見ている。
「いま、何も渡したの?彼、連邦保安庁の人間だよね?身分証持ってた、彼もスパイなの?」
青藍の頭の中では世の中は思った以上に腐っているというケイレブの言葉が何度もリピートされていた。
「渡したもの?ああ、ジブリのDVDだよ、彼はジブリファンだから」
「へ?あ?えっ?」
金かと思っていたのにまさかのアニメのDVD。
「連れてくるように買収した」
ニヤニヤするケイレブ。
「で、でも、あんたを捕まえずに野放しにしてる」
買収がアニメのDVDとか馬鹿にしてんの?と言わんばかりの意気込みで言う。
「野放し?そりゃ、仲間だからな」
ケイレブはそう言うと自分の身分証を青藍の前に出した。
アイラトと同じ紋章が入った身分証。
「ケイレブはコードネーム。イヌと言う意味もある嫌味な名前だよ。国の犬」
ふふと笑うケイレブは本名をアンバーと名乗った。
アンバー……その言葉は彼の目の色を見た時に放った言葉。
「いきなり名前を言うからバレているのかと思ったけれど目の色を見て言ったんだなって思ったよ」
「えっ?あっ、」
そう、目の色を思わず言ってしまった。
幼い頃、たまに一緒に遊んだ初恋の子を思い出した。
近くに住んでいた外国の子。色白で栗色の長い髪、そしてその子の目の色も琥珀色でアンバー色。名前もそのままだった。
「あれ?」
待ってよ、名前同じだよな?と考える。
「変な顔になっているぞ?」
「うるさいほっとけ……いま、考え事してるんだから」
文句を言ってケイレブ、いや、アンバーを見た。
アンバーは黒髪だ。でも、あれ?下の毛って黒じゃなかった。
彼の裸を思い出してみてるとセックスも一緒に思い出して死にそうになる。
「どうした?今度は顔が赤いぞ?百面相か?」
「髪……染めてる?」
「染めてるけど?」
「昔、日本に住んでた?っていうか日本語上手いからそうだよな」
もうやけくそだった。
「ああ、なるほど、今、記憶合わせしてたのか、俺は覚えていたのに」
くすくす笑うアンバー。
あの時会ったケイレブと違う笑顔。ちゃんと心から笑っている顔。
一人称まで私から俺に変わっている。
「まじか……」
あの子、男の子だったのかあああ!!と心の中でシャウト。
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