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雨音を完全に拒絶して、いつもあった温もりが無くなった。 嗚呼、寂しさを感じる自分が情けない。 玄関の呼び鈴が鳴り扉を開けると雨音が居た。 「帰れ」 突き放したが、聞こえてないのか? 今迄見た事もない位余裕のない顔で雨音は俺に近付いた。 嫌いな相手を家に入れたくない。ましてや視界に入れるなんて、吐き気がした。 罵声を上げ、頬や身体を殴ったが、雨音は俺の両手首を紐で縛り上げ、そのままベッドの柱に括り付けた。 服を脱ぐ雨音。 太股を伝う液体は前からではなく後ろから垂れている。 嗚呼、雨音はΩだったのか。 だから惹かれたんだ。 俺はαだ。 ずっとずっと雨音がΩだったら良いのになって思ってた。 もしそうだったら番になりたいとも考えていた。 勿論嫌いになる前の話。 今となっては最悪だ。 「好き。好きなんだ村主。……好き」 溢れる涙。 綺麗に見える自分が嫌いだ。 「っあ、村主、すぐりぃ。気持ち良い。ぁっ、そ …こ、ぁ、んぁっ」 反応してしまう自分が恨めしい。 憎いと嫌いだと思っているのに、身体が心を裏切る。 もう何度放ったか分からない白濁が雨音が動く度溢れて脚を伝う。 好きだ、嫌わないで?必死に泣きながら俺を求める雨音を愛しいと感じた。 だが、それと同じ位憎い。 コイツは操を殺した殺人犯だ。 忌むべき存在。 以前の様に優しく触れそうになる衝動を抑えながら 「殺してやる」 そう、告げた。 泣きながら笑った雨音は俺の首を絞めた。 一度で良いから名前で呼んで欲しい。好きって言って? 震える声で身体で求められる。 俺を襲う喉の痛み。 苦しい。 嗚呼、そんなに泣いてバカだな。 折角の綺麗な顔が台無しだ。 好きなんて聞いてどうすんだよ? 嘘だって分かってんだろ? 嫌われてるって気付いてんだろ? それでも聞きたいのか? ほんっとバカだよ、お前は。 「…………………好き…だ、あま……ね…………」 口から出たのは真実か嘘か。 薄れ行く意識の中幸せそうに微笑む雨音が見えた。

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