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二章
……キスから解放すると、ハァ…と彼は小さく息をついた。
「……額に汗が浮いてる」
スーツの胸ポケットからハンカチを抜いて、汗を拭き、
「キスだけで、汗が滲むほど感じられるんですね」
横の髪を耳にかけて囁きかけると、
「……んっ!」
吹きかけられた吐息に声を上げて、耳を手で押さえた。
「……可愛いですよね?」
くすりと笑い、
「……ここは、どうなんですか?」
と、股の間に手をあてがった。
「……ダメだ…」喉から絞り出すようにも言い、「……今は、ダメだ……」と続けた。
「……今は?」
言葉尻を捉え、
「じゃあ、後でならいいんですね?」
言いつのって、
「今夜、ここで俺を待っていてください」
有名なホテルの名前を知らせた。
「逃げるのはなしですよ? もし来なければ、その時にはどうなるかわかってますよね?」
課長は問いかけには答えずに、
「……話は済んだのか」
それだけを言い、会議室を出て行ったーー。
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