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二章
「さっき…俺を嫌いだと言いましたが、」
耳の中へ吐息を吹き込んで、
「……こうされるのは、嫌じゃないでしょう?」
尋ねた。
無視を決め込もうとする彼に、
「……何も答えないのなら、痛みで泣かせてもいいんですよ?」
言い下すーー。
「いい加減、どっちが上なのか理解してもらわないと、何をされても知りませんよ」
俺の言葉に、
「……痛いのは、嫌だ…」
口を開いて言う。
「……だからそうじゃなくて、こうされるのが嫌なのかどうかを聞いてるんです」
あいた口に舌をぬらりと滑り込ませた。
「んっ…うぅ…」
「言えないのなら、この俺をキスで感じさせてみてください。そうすれば、痛くはしないので」
彼の濡れた舌が緩々と巻き付いてくる。
「……そんなので俺が満足するとでも?」
「……う、んっ!」
喉の奥へ達した舌先が必死で絡め取られる。
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