40 / 96

四章

丸まって震えている彼の腕を引っ張り上げて立たせると、机に両手をつかせた。 「俺だって、ずっとスイッチを押さずに我慢してたんですから、少しくらい遊んでくれてもいいじゃないですか?」 嘲笑混じりに語尾が上がると、 「……解放してくれ……」 涙声で懇願をして、 「……もう、嫌だ……」 机に顔を伏せた。 「これね、三段階まであるんですよ。一つ上げてみてもいいですか?」 突っ伏した髪を掴み上げると、その顔は涙でどろどろになっていた。 「いやだ……もう…なにもしない…で……」 「……あの仕事のデキる皐月課長が、様がないですね…」 尻の間からしっぽのように出ているローターを少し抜いてやり、 「泣いていても、快感は得られませんよ」 リモコンを彼の目の前に見せつけて、段階を"中"に上げた。 「い……やっ……」 ヴゥヴゥヴゥ…という音が響くと、歯の根が合わずにガチガチと鳴った。 さらにその上の強を試そうとして、 「……課長?」 ふと顔を覗くと、必死で歯を噛みしばって耐えているのが目に入り、 「もう抜いてあげますから……」 急に可哀想にもなって、バイブを引き抜いた。 「ほら、出しましたよ…」 コトリと机に置き、 「……まだ、泣いてるんですか……」 震えが止まらずにいる身体に腕をまわして抱くと、 「……各務っ…」 なぜか名前を呼んで、縋り付いてきた。 「どうしたんです、課長…」 「……各務…各務……」 泣きじゃくる子供のようにも縋って、 「……イかせて…」 不意に、顔を上げて言った……。

ともだちにシェアしよう!