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四章
丸まって震えている彼の腕を引っ張り上げて立たせると、机に両手をつかせた。
「俺だって、ずっとスイッチを押さずに我慢してたんですから、少しくらい遊んでくれてもいいじゃないですか?」
嘲笑混じりに語尾が上がると、
「……解放してくれ……」
涙声で懇願をして、
「……もう、嫌だ……」
机に顔を伏せた。
「これね、三段階まであるんですよ。一つ上げてみてもいいですか?」
突っ伏した髪を掴み上げると、その顔は涙でどろどろになっていた。
「いやだ……もう…なにもしない…で……」
「……あの仕事のデキる皐月課長が、様がないですね…」
尻の間からしっぽのように出ているローターを少し抜いてやり、
「泣いていても、快感は得られませんよ」
リモコンを彼の目の前に見せつけて、段階を"中"に上げた。
「い……やっ……」
ヴゥヴゥヴゥ…という音が響くと、歯の根が合わずにガチガチと鳴った。
さらにその上の強を試そうとして、
「……課長?」
ふと顔を覗くと、必死で歯を噛みしばって耐えているのが目に入り、
「もう抜いてあげますから……」
急に可哀想にもなって、バイブを引き抜いた。
「ほら、出しましたよ…」
コトリと机に置き、
「……まだ、泣いてるんですか……」
震えが止まらずにいる身体に腕をまわして抱くと、
「……各務っ…」
なぜか名前を呼んで、縋り付いてきた。
「どうしたんです、課長…」
「……各務…各務……」
泣きじゃくる子供のようにも縋って、
「……イかせて…」
不意に、顔を上げて言った……。
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