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四章
「イかせてあげただけですから……」
そう言うと、
股の間で萎えた自分のものに目を落とした。
「……イかせた? まさかそれを、俺が頼んだりは……」
虚ろながら覚えているらしいのに、
「無理やりに…」と、わざと応えた。
「無理やり……?」
思い出そうともする彼の唇に貪るように口づけて、その思考を奪った。
忘れてしまえばいい……自分からねだったことなどは。
そうすればあなたをずっと、いたぶってもいられる……。
「……今週の土曜日、俺の家へ来てください…」
唇を離して伝える。
同意もしない彼に、
「あなたを貶《おとし》める材料は、写真も含めて揃っているんですから、ちゃんと来てくださいね…」
睨み据えるような眼差しに、さっき彼が自分に縋りついてきたことなどなかったことになればいいと、改めてその事実を頭の隅ヘと追いやった……。
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