45 / 96

五章

ーー土曜日、 暗くなる前に、皐月課長は俺の部屋に来たーー。 こないだの資料室での出来事から、どこかぎこちない雰囲気が漂っていた。 あの一瞬、突然に気を許してきた彼を、まだどう扱っていいのかわからないところもあった。 あの時には忘れてくれればいいとも思えたが、どう接したらいいのかあれ以来わからなくなるばかりで、気持ちを持て余してしまっていた……。 「……各務、」 呼ばれて、沈黙に顔を上げた。 「……皐月課長、どうして来たんですか?」 じっと見つめて、そう訊くと、 「……。……行かなければ、秘密をバラすからと……」 と、答えた。 「……秘密、ですか。では課長はそれをバラされないためになら、何をしてもいいんですね?」 「……何をしても……というわけでは……」 言葉を詰まらせるのに、 「……主導権は俺の方が持っているということだけは、忘れないでくださいね」 含むようにも話して、 「……さっそくですが、裸になってくれますか」 仕方なさげに脱ぎ始めた彼の裸体に、そうするしかないような気持ちでむしゃぶりついた……。

ともだちにシェアしよう!