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五章
彼を抱く程に、飽き足らない気持ちだけが込み上げてくる。
まだ止まらずに滲む血の匂いが鼻をついて、より加虐性が煽られていく。
「……あなたは、俺のものだ……」
彼の感じやすい乳房を鷲掴んで、赤くなるほど揉みしだく。
「…んっ、いた…い…」
「……痛みなど、いずれ快感に変わりますから」
被虐的な衝動に駆られるまま、力まかせに揉むうちに、
股の間に挟んでいた自身が達しそうにもなって、彼の前方を手早くこすり上げた。
「……んっ、く…!」
手の中で果てたのに少し遅れて自分も精液を吐き出すと、
「……課長 」
と、呼びかけた。
「俺が出したのを舐め取ってもらえますか?」
達しても収まりのつかない熱情に、無理やりに両肩を押し下げタイルの上に膝をつかせて、イったばかりのものを口の前に差し出した。
そんなことはやったこともなく躊躇しているその口へ、いきなりにグッと押し込んだ。
「ふ…ぐっ!」
不意に突っ込まれて目を見開くのを、さらにぐいぐいと押し入ると、先が喉の奥に突き当たった。
「ん…くっ、ガッ…かはっ!」
「……吐き出さずに、ちゃんと咥え込め」
フェラの仕方も知らないらしいのに、自分で抜き差しを繰り返す。
「……舌で全部舐めるんだ。やってみろ」
頭を押さえて口から出せないようにして言い下すと、
むせ返りながらチロチロと舌で舐めた。
稚拙な舌の動きが逆に気持ちよくも感じられて、「あっ……」と声が漏れた。
そこへ、不意に歯を立てられて、
「……うっ!」
叫んで、咄嗟に引き出した。
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