57 / 96
五章
シャワーを上がって、突っ立ったままでいる彼の身体をバスタオルで拭いてやり、
「服も、着せてあげましょうか?」
シャツを肩に着せかけると、
「自分でやる…」
と、奪い取られた。
着込むのを横目に見ながら、自分も着替えて、
「ランチでも行きますか?」
と、手を引いた。
背後にはバイブが仕込まれているせいで逃げられるはずもなく、のろのろとした足取りでついてくるのを見て、
持ってきたリモコンをポケットで密かに握り締めた……。
……近くのカフェで、サンドイッチとコーヒーを頼んだ。
オーダーが運ばれてきても、彼は手を付けず、ぼんやりとただ座り込んでいた。
「食べないと、体力が持ちませんよ?」
そう促して、
「夜まであなたを帰す気はないので」
付け加えた。
ともだちにシェアしよう!