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五章

「帰らせてくれ……」 聞こえないふりで、コーヒーを口に運んだ。 「帰らせ……っ!」 二度目の言葉を言い終わらないうちに、無言でスイッチを入れた。 「…ふっ! あ……!」 震えの襲う手でテーブルを掴むと、カタカタとコーヒーカップが鳴った。 「おとなしく食べれば、切ってあげます」 噛みしばった口元にぶるぶると震える手でサンドイッチを持っていき、中へ押し込んで、 「……食べた、から…切って……」 か細い声で口にした。 「コーヒーも飲みなさい」 言うと、取っ手を摘まもうとする指がすぐには掴み切れずに、カチャカチャとカップの乗ったソーサーが揺れた。 俄かに周りの視線が集まり、仕方なくスイッチをオフにして、 「全部食べなければ、また……入れますよ?」 言って、軽く笑って見せた。

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