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五章
うつむけた顎を掴み、
「目を逸らさないで、俺を見て」
瞳を合わせ、口づける。
「…ん、やめ…」
押し返そうとするのをさらに腕に抱いて、
「こっちも、見せつけたらいい」
と、唇を押しあてると、
「……そんなつもりなんか、ない……」
と、突き放された。
邪険に扱われると、逆にどうしようもなく穢してやりたくなる。
「……あなたにはなくても、」
襟首を両手で掴んでぐいっと引き寄せて、
「俺にはあるんですよっ」
と、無理やりに唇を奪った。
「……んっ!」
口を閉じる隙を与えずに舌を割り込ませ、後頭部を抱えてさらに奥へと探り入れる。
「…うぅ…んっ…」
頭を振って嫌がるのを無視して、舌で口内を掻き回すうちに、
次第に抵抗を失くしされるがままになってきたところで、下腹部の具合を確かめた。
「……あっ…や……」
僅かに兆しているのを、聞き入れずに揉みしだいて、
「向こうより、もっと淫らなことをしてやりませんか」
耳へ吹き込むと、
「…いや、だ…やめ…」
また腕の中を脱け出そうと抗うが、嫌がられてもその気にさせたい気持ちが湧くだけだった。
「……人が、いるから……」
「……いるから、何です?」
やめさせようと手首を掴むのを、構わずに中に手を入れて、つと股の間を中指の先でなぞった。
「……やっ、あぁ…くっ…」
漏れる声に下唇を噛むのを、
人差し指を増やして二本でなぞりながら、親指をひらいて亀頭の辺りをまさぐった。
「ふ…あっ、う…くっ!」
堪え切れずに微かに開く口から覗く舌を絡め取り、
親指であたりをつけた先端を撫で回していく。
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