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六章
……会社の飲み会で、女性達に取り巻かれる皐月課長を忌々しく思いながら見ていた。
そこへ、
「皐月課長、モテますよね?」
と、女性社員の一人が話しかけてきた。
「ああ」とだけ空返事をする。
「課長って、甘いマスクって感じですし。でも私は、各務さんの方が好きですよ? クールなイメージがあって……」
明からさまに絡んでくるのを無視していると、
「お酒、飲んでないんですか?」
と、ウーロン茶の入ったグラスを覗き込まれた。
「車で来たから、今日は飲んでいないだけだ」
やや鬱陶しくも感じつつ応えると、
「……車で?」と返して、「だったら、私のこと送ってくれませんか?」としなだれかかってきた。
「……うるさい」
ボソリと言い、突き放す。
「なんなのよ? ちょっといい男だと思って、えらそうに!」
捨て台詞を吐いて、女が離れて行く。
やかましいだけの女など興味もなかった。
それよりも、周りから酒を注がれちやほやとされている課長のことが、気になって目を離せずにいた……。
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