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六章

「今のところは……」 答えて、笑いを浮かべた。 「…降ろせ…」 薄ら笑いを見咎めて、声を落とし呟くのに、 「降りられませんよ…」 と、返して、スピードを上げた。 「……降ろせ!」 叫んでドアに手をかけ開けようとするのを、片手で掴んで力づくで引き戻すと、 倒れ込み、ちょうど股の間に顔が嵌《はま》った。 「……課長、このまましてくれませんか」 すかさず頭を押さえ付けて、 「あなたが上手くやらないと、運転を誤るかもしれないので」 含むようにも言うと、 キリッと歯を軋ませた。 「……下を開けて、出してください。ほら、事故を起こしたくなければ……」 チャックは下ろしても、出すのを躊躇しているのに、 彼の首を抱えるようにしながら、自分で外に引き出した。 口の先に突き付けて、 「……咥えろ」 低く命令をすると、 従うことがいつの間にか当然になったのだろう身体が反応をして、口へ咥え込んだ……。

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