71 / 96
六章
「今のところは……」
答えて、笑いを浮かべた。
「…降ろせ…」
薄ら笑いを見咎めて、声を落とし呟くのに、
「降りられませんよ…」
と、返して、スピードを上げた。
「……降ろせ!」
叫んでドアに手をかけ開けようとするのを、片手で掴んで力づくで引き戻すと、
倒れ込み、ちょうど股の間に顔が嵌《はま》った。
「……課長、このまましてくれませんか」
すかさず頭を押さえ付けて、
「あなたが上手くやらないと、運転を誤るかもしれないので」
含むようにも言うと、
キリッと歯を軋ませた。
「……下を開けて、出してください。ほら、事故を起こしたくなければ……」
チャックは下ろしても、出すのを躊躇しているのに、
彼の首を抱えるようにしながら、自分で外に引き出した。
口の先に突き付けて、
「……咥えろ」
低く命令をすると、
従うことがいつの間にか当然になったのだろう身体が反応をして、口へ咥え込んだ……。
ともだちにシェアしよう!