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六章
部屋の中へ連れて入り、シンプルに片付いた広めのワンルームを見回した。
ベッドに寝かせて、肩に着せかけていた自分の上着を引き抜き、寝乱れた髪を手の平で撫でると、
「……課長、俺のことが……」
ふと言葉がこぼれて、自分を睨み付ける上目な視線が脳裏をかすめた。
「俺のことなど、好きにならずに……」
毛布を引いて、
「……憎んでいてください……でないと俺は、」
閉じられた目蓋に唇を寄せた。
「俺は、あなたを好きで、いられない……」
俺を憎むあなたを、受け入れないあなたを愛してる……
愛し……言いかけて涙が勝手に込み上げ、つたい落ちて、
背中を向けると、「…ん…かが…み…」寝言で呼ぶ声が耳に入った。
「……バカですよね、あなたは」
さっきと同じようにも呟いて、彼の部屋を後にしたーー。
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