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七章
……その日目が覚めると、熱があるのを感じた。
会社へ休むことを伝えて、ベッドの中で額に手をやった。
思っていたより熱が高いらしいことがわかると、ズキズキと頭痛までしてくるようだった。
「…くっそ…」
身体に纏わりつくような気怠さと、じわじわと疼く全身の痛みに、身じろぎさえもできずにいた。
ベッドの中で寝たり起きたりを繰り返しながら、次第に暮れて行く窓の外をぼーっと眺めていたーー。
ーーどれくらいの時間が経ったのか、
ピンポーン…と部屋のインターホンが鳴って、目蓋をひらいた。
誰だ……のろのろと起き上がり、訪問者を映した画面を見て、言葉を失った。
そこには、皐月課長の姿があった……。
なぜ……と、納得もできないまま、
「……何か用ですか?」
訊くと、
「……各務、渡すものがある」
そう応えた。
今、必要な物なのかと思いながら、ドアを開けて中へ招き入れた。
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