77 / 96

七章

……その日目が覚めると、熱があるのを感じた。 会社へ休むことを伝えて、ベッドの中で額に手をやった。 思っていたより熱が高いらしいことがわかると、ズキズキと頭痛までしてくるようだった。 「…くっそ…」 身体に纏わりつくような気怠さと、じわじわと疼く全身の痛みに、身じろぎさえもできずにいた。 ベッドの中で寝たり起きたりを繰り返しながら、次第に暮れて行く窓の外をぼーっと眺めていたーー。 ーーどれくらいの時間が経ったのか、 ピンポーン…と部屋のインターホンが鳴って、目蓋をひらいた。 誰だ……のろのろと起き上がり、訪問者を映した画面を見て、言葉を失った。 そこには、皐月課長の姿があった……。 なぜ……と、納得もできないまま、 「……何か用ですか?」 訊くと、 「……各務、渡すものがある」 そう応えた。 今、必要な物なのかと思いながら、ドアを開けて中へ招き入れた。

ともだちにシェアしよう!