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七章

ベッドへ戻り、背もたれに半身を預けて座ると、 「……これを。新しいプロジェクトの企画概要だ」 と、封筒が差し出された。 角封筒から中身を出してパラパラと捲り、 「……必要ですか?」 と、尋ねた。 「こんなものをわざわざ持って来なくても、メールで送れば済みますよね…」 そう続けると、課長は何も答えずに黙り込んだ。 「……何をしに来たんです、本当は……」 ため息をついて言うと、 「……わからない」 と、力なく首を振った。 わからないのはこっちの方だと思いながら、 「……俺が気になったとでも……」 口にすると、 「…………そうかも…しれない」 と、呟いた。 要領を得ない反応に頭痛が酷くなってくるようで、額を手で押さえると、 「……。……おまえの席が空いているのを見ていたら、ついここへ来ていた……」 心配でもしている素振りで言って、 「……自分でもどうしてだかわからない……」 と、続けた。 「……気にかけられる筋合いなど、ないですよね?」 二本の指でこめかみを押さえ付けて痛みに耐えながら、 「……帰ってくれ」 と、吐いて、 「俺に……、姦られたくなければ……」 突き放す言葉を吐いた。 ……無意識に、彼が俺を受け入れようとしているのを察していた。 自分でも気づかないうちに、俺を自身のテリトリーへ踏み込ませようとしていた……。

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