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「ああっ?」    夫に貫かれた晴樹の唇から飛び出したのは、歓喜ではなく失望の声だった。    恭祐のペニスには、薄いゴムの膜があったからだ。 「なっ、なんでっ?」  眉を寄せて夫を振り仰ぐと、恭祐が男らしく整った顔を意地悪そうに歪めた。 「十枚すべてを使い切りたいんだろう? 協力してやる」    言うなり、恭祐が律動を始めた。  夫の牡の形に慣れた孔が悦んで絡みついてゆく。  しかし、ゴムが邪魔をしている。  イきたい。前で達したい。ナマで挿入してほしい。 「きょっ、恭祐さんっ」 「少しゆるいな……。もうちょっと締めろっ」 「あっ、ああっ」    腰を掴んでいる恭祐の手首を握り、半身を振り向けた晴樹だったが、ぐぽっ、ぐぽっ、と感じる場所を突かれ、ついでのように空いている手で乳首を弄られて、悶えるように背を波打たせた。  しこった胸の粒が、乳暈ごと抓られる。  痛みと快感に、腰にちからがこもった。  乳首への刺激で、孔がぎゅうっと(すぼ)まり、恭祐を締め付ける。 「いいぞ、晴樹。そのままでいろよ」 「ああっ、あんっ、あっ、あっ、あっ」    激しく腰を打ちつけられ、晴樹の体が前後に揺れた。  膝がガクガクと震え、立っていられない。  晴樹は上体を倒す形で木の幹にしがみついた。  凹凸のある幹に、揺さぶられる反動で時折乳首が触れる。 「あ、ああ~っ、あっ、きょ、恭祐、さんっ」 「どうした」 「い、イきたいっ、お、おちんちんで、出させてくださいっ」 「まだダメだ」  非情にも言い切られ、晴樹の目に涙が滲む。  結合部からパン! パン! と尻たぶに陰嚢がぶつかる音が響いた。  夫のペニスで責められる度に、下腹部で晴樹のペニスがたまらないとばかりに揺れ動く。   「んああっ、あ~っっ、だ、出させてっ、出させてっ」 「先に後ろでイってからだ」  晴樹の懇願を、そんなふうに切り捨てて。  恭祐が晴樹の弱いところばかりを突いてきた。   「ひぃっ……ん、う、あ、あ、ああああっ」  晴樹は息を詰めて、全身を強張らせた。  内部のうねりがとまらない。  中イキをした晴樹に搾り取られる形で、恭祐の逞しい牡も逐情した。  しかし、先端から放たれる迸りは、そこを覆うコンドームに邪魔をされて、晴樹までは届かなかった。  腰が震えた。  恭祐の精子を中に掛けてほしい、と、そのことしか考えられない。    晴樹はちからの入らない体を動かして、自分から体内の肉棒を引き抜いた。  そして忙しない動作で夫の方に向き直り、砂地に膝をついて身を屈め、恭祐のペニスに手を伸ばす。    果てたばかりだが、夫のそこは甘勃ち状態だ。  晴樹は内側に精液の溜まったスキンを奪い取り、地面に捨てた。  とたんに、恭祐の牡の匂いが立ち込める。  ぬるつくそれを、晴樹は大きく開いた口の中に迎え入れ、フェラチオをした。  鈴口に溜まっていた白濁を啜り、裏筋を舐め上げ、ぶちゅっ、ぶちゅっと吸い付いた。  晴樹の口腔で、どんどんと牡が育ってゆく。    完全に硬度を取り戻した唾液まみれのペニスを、口から出して。  晴樹は再び立ち上がると、恭祐へと尻を向けた。 「恭祐さん……な、中出し、してください」  夫が笑った。  満足そうに、ひとつ頷いて。    太い熱塊が、晴樹の中へと押し入ってきた……。                

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