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ゴムの膜をまとわない剥き出しの肉棒を、恭祐 は妻の孔へと埋め込んだ。
ずぷぷ……と亀頭が潜り込んでゆく。
うねる肉壁が絡みついてきた。たまらない感触だ。
晴樹の背が、きれいなラインを描いた。
恭祐が掴んでいる尻たぶには、『Fuck Me』の文字が黒々とした油性ペンで書かれている。
恭祐は、激しい嫉妬を感じ、己の欲望を一気に晴樹の体内へと突き入れた。
「あああっ、ひっ、あっ、あっ、つ、強いっ」
腹を破るほどに腰を叩きつけると、晴樹がヤシの木に縋って膝をガクガクと震わせる。
恭祐は右手を振り上げ、パンっ、と文字の上を平手で打 った。
「ひぃっ、あっ、あぅっ」
髪を振り乱して、晴樹が悶えた。
背後から襟足部分を掴んで強引にこちらへと向かせると、恍惚の色を浮かべた瞳が、恭祐を映してとろりと潤む。
夫ではない男に抱かれている妻を見るのが、恭祐は好きだった。
会社の部下に抱かせたこともあるし、電車の中で痴漢に遭わせたこともある。
どんなときも晴樹は、蠱惑的に乱れた。
恭祐のものではないペニスを咥え込み、奔放に悦 がった。
先ほども、男たちにこのいやらしい水着姿を晒し、手や口、そして後孔に陰茎を与えられ、彼は嬌声を上げて何度も中でイっていた。
恭祐は、妻の乱れる様を少し離れた場所からつぶさに観察し……湧き上がる嫉妬心に胸の奥を炙られていた。
晴樹は、相手が恭祐でなくともこれほどの恥態を見せるのだ。
しかし……。
恭祐は晴樹の孔からじゅぼっと熱塊を引き抜いた。
「ああっ。い、いやっ、抜かないでくださいっ」
空っぽになった内側の、熟れた色を覗かせた晴樹が、切なげに眉を寄せた。
「きょ、恭祐さん……挿れて……お、オレの中に……あっ、ひぅっ! あっ、あっ」
晴樹の言葉の途中で、恭祐は張り出したエラの部分を再び中へと押し込んだ。
ゆっくりと、ゆっくりと凶器のように猛った逸物を埋めてゆく。
晴樹の孔が、悦んで収縮した。
挿入するそばから、メスイキしている。ビクビクと全身を痙攣させて、晴樹は絶頂を味わっていた。
その、感じすぎて窄 まって来る肉筒を、ペニスの先でこじ開ける。
たまらないな、と恭祐は思った。
この感触が、たまらない。
「ああ~っ、あっ、い、イってるのにっ、ま、またイくぅっ」
晴樹が泣きながら叫んだ。
日焼けをしたのか、それとも興奮しているからか、色白の肌がほんのりと赤く染まり、文字の書かれた尻たぶはそれ以上に赤かった。
恭祐は、自身でつけた打擲 の名残を、やわやわと撫でた。
晴樹はそれだけの刺激で、後孔を淫らにヒクつかせ、またイった。
しかし彼の形の良いペニスは勃起したままだ。
中に掛けられないと射精できない。そういう体に、恭祐がした。
恭祐は、晴樹の肌を這う赤いサスペンダーを引っ張り、彼の肩から滑らせた。
もとより水着というよりはただの紐である。重力に従って簡単に足元に落ちた。
反対側の紐も、同様に晴樹の下に落とした。
全裸になった晴樹が、恥ずかしそうに身を竦める。
こんな紐程度でも、身にまとわないと心細くなるのだろうか。
「晴樹」
恭祐は妻の背にのし掛かる体勢で上体を倒し、彼の耳に囁きを流し込む。
「おまえは誰のものだ? 晴樹」
耳朶を甘噛みしながら尋ねると、晴樹が腰を震わせて、熱っぽい吐息で答えた。
「きょ、恭祐さんの、ものです……」
「本当か? ここに……こんな文字を書かれて……ハメてもらえるなら誰でもいいんだろう?」
意地悪くそう言って、恭祐はじゅぶじゅぶと晴樹の中を掻きまわした。
「んあっ、あっ、あ、あなたがっ、見てるからっ」
恭祐の陰茎に貫かれ、快感に顔を歪めながら晴樹が訴えてくる。
「あなたがっ、い、いつもっ、オレを見てくれてるからっ、あ、ああっ」
「他の男に抱かれるところを、俺に見られて嬉しいのか」
「は、はいっ、あっ、あんっ」
「自分で言ってみろ、晴樹」
「ああっ、お、オレはっ、あっ、恭祐さんにぃ、あ、ああっ、み、見られて感じる、変態ですっ」
恭祐にそそのかされるまま、晴樹が口走った。
彼が声を発する度に、内壁がきゅんきゅんと絡まりついてくる。
恭祐は、彼の横顔を隠してしまう長めの髪を掻き上げ、桃のように色づいた耳に掛けた。
晴樹が、淫蕩な色をたたえた目で恭祐を振り仰いで、赤い唇を開いた。
「すき……、お、オレを見てるときの、あなたのその目が、好きです……」
淫乱なくせに、貞淑なセリフを言う唇を、恭祐は乱暴に奪った。
立ちバックの姿勢で無理に顔を捻られて、少し苦しげに。
しかし嬉しそうに晴樹が微笑む。
熱い舌を絡ませながら、恭祐は密着した腰を揺すった。
「ふぁっ、ん、んん~っ、んむっ」
不自由な呼吸の中で晴樹が喘ぐ。
解放はもう目の前だ。
恭祐はごりごりと深い部分をこすり上げた。
先端が結腸部分に当たり、まるで吸いつかれているような感覚をもたらしてくる。
「んあ~っ、あっ、あっ、ああああっ」
首を振って口づけから逃れ、酸素を求めて開いた晴樹の口から、とめどない喘ぎが漏れた。
「晴樹。おねだりしてみろ」
「な、中にぃ、中にくださいっ、ああっ、恭祐さんっ、恭祐さんに、種付けされたいっ」
内部のうねりが激しくなる。
奥に引き込もうとする粘膜の動きに抗うように、恭祐は一度、ペニスが抜け落ちるそうなほどに腰を引き。
思い切り、最奥部を抉った。
「~っっっっ!」
晴樹が声のない悲鳴を上げる。
恭祐は自身の中に満ちて来る法悦に逆らわず、晴樹の中へと射精した。
晴樹が全身を強張らせ、限界まで膨らんだ陰茎から白濁を漏らした。
それは、勢いもなくだらだらと垂れて……。
「あああっ、あっ、あっ、と、止まらないっ」
晴樹が涙で濡れた顔を、淫蕩に歪めて無毛の股間を押さえた。
「やっ、あっ、な、なにこれっ、あっ、も、漏れるぅ……」
ビク、ビク、と痙攣する晴樹の、その手の隙間から、ぼた、ぼた、と精液が落ちる。
恭祐の欲望を咥えている内部の蠕動がひと際激しくなって。
去りきらない震えを宿したまま、晴樹がしょろしょろと液体をこぼした。
精液ではない。
尿だ。
あまりの気持ち良さに、失禁したのだった。
「こ、こんな……ああっ、は、恥ずかしい……」
真っ赤な顔で、晴樹が身を縮めた。
羞恥を感じている妻の表情は、しかし隠し切れない恍惚に縁どられていて。
これだ、と恭祐は思った。
恭祐の前で、恭祐ではない男に抱かれる晴樹。
けれど、いったい他の誰が、晴樹のこんな表情を引き出せるというのか。
晴樹は誰にでも体をゆるすような、貞操観念のゆるい妻だが、恭祐に抱かれているときが一番いい表情をする。
恭祐はそれを実感するために、晴樹を他の男に委ね、強烈な嫉妬を覚えながらも他人に汚された妻を抱き、誰にも見せない顔で喘ぐ晴樹の表情に、この上ない劣情と満足感を抱くのだった。
我ながら歪んだ独占欲だ、と恭祐は思う。
けれどその恭祐の趣味に付き合えるのだから、晴樹だって相当歪んでいる。
勢いのない排尿で内腿を濡らしながら、はぁはぁと呼気を乱している晴樹を、恭祐はじっくりと鑑賞し、満足の笑みを浮かべた。
この後はどんなふうに可愛がってやろうか、と想像するだけで、晴樹の中に収まったままの牡が、むくむくとちからを取り戻してゆく。
晴樹が濡れた目をこちらへと向けてきた。
ごくり……と上下する喉仏に、晴樹の抱いた期待を感じとって。
恭祐はまた、喉奥で笑ったのだった。
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