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昔と変わらない漆黒の髪は、最初に会った時よりも伸びていて綺麗にワックスでセットされており、その切れ長の瞳は今でも吸い込まれるような感覚に陥る。
20センチ程身長差があり見上げるような形になってしまうが、男でも憧れるほどの端正な顔立ちは小さく、モデルの様である。
スラリとした印象を与える龍司だが意外と筋肉質で着やせするタイプだと以前言っていたのを思い出した。
頭も良くてスタイルも良い、そして顔が美形とくれば世の中の女の子が放っておくはずがない…。
そんな事を思いつつ部屋の前で立ち尽くす龍司に微笑む。
「おはよう湊。…ん?何か気になる夢でもみたのか?表情に少し曇りがある」
頬に龍司の大きい手が添えられ、龍司が心配そうに見つめてくる。
―…俺そんなに顔に出ていたかな?
いつも通りのつもりだったんだけどな…。
俺は龍司に微笑んだ。
「そんなことないよ。ちょっと昔の夢を見ちゃって…。でも大丈夫っ!」
昔と変わらない龍司の暖かい手に、少しだけ鼻の奥がツンとした。
自分でもわからないけど、龍司に触れられると凄く懐かしい気持ちになる。
それになんでかな…すごく泣きそうになって
すごく…
胸が苦しくなる
「湊…?」
「あっ…ごめんなんでもない!ほら、龍司もう会社行かなきゃならないでしょ?ご飯食べよ?」
誤魔化すように笑いながら頬に添えられた手を握ると部屋を出た。
龍司は黙ったまま、何か言いたそうな表情で俺を見てくるが、直ぐに優しい表情に戻った。
「もう朝ごはんの準備は出来ている。一緒に食べよう」
「んー!美味しい!やっぱり龍司のご飯はすっごく美味しい!」
リビングに行くと、綺麗に並べられた朝食が視界に入る。
真っ白の艶があるご飯からは湯気があがっていて、出来立てだという事が分かる。
一口食べれば、その美味しさに思わず頬を綻ばせた。
「それはよかった」
嬉しそうに龍司が微笑んだ。
男の俺から見ても整いすぎていている端正な顔立ち。
見惚れながら心臓が高鳴っていくのが分かった。
「っ…」
なんだろう。
なんでこんなに龍司に俺…。
昔から龍司はカッコいいと思っていた。
成長していくとそのかっこよさに拍車がかかった様に感じ、最近では龍司の笑顔にドキドキが止まらなくなってしまう。
「湊?どうした。もう食べないのか?」
「えっ…あっ、ごめんなさい!ちょっとぼーっとしちゃって」
何考えているんだ俺!
龍司は男なのに…
――きっと気のせい。
あの時から龍司とずっと一緒だったから
だから、
ちょっとおかしくなってるんだ。
赤くなった顔を見られないように自分に言い聞かせると、まだ食器に残っているご飯に手を付けた。
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