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「…そこにいるのは誰?」 「…っ!!」 ―…誰か、いるのか…? 地下室に踏み入れた瞬間に、どこからともなく声を掛けられ、龍司は辺りを見渡す。 人の気配はするものの、声をかけて来たであろう人物の姿は見当たらない。 地下室内は青白いLEDライトが設置されていて、不気味に地下室全体を照らしていた。 部屋の両脇には天井から綺麗に並べられたカプセル。 真ん中の通路の奥には長方形状の大きなテーブルとモニター、試験管や注射器。 ファイリングされた紙がたくさん置いてあるのが視界に映った。 「誰だ…?」 異様すぎる光景に、震えそうになる声を保ちながら声の主を探す。 すると、龍司と同じくらいの年代の中性的な、少女とも少年ともとれる子供がモニターに囲まれたテーブルに座っているのが見えた。 金色の長い髪を左側に1つに結わえた白衣姿の子供は、かけていたシルバーフレームのメガネを取り、キャスター付きのチェアーから立ち上がると、龍司の方に歩いてくる。 子供…?こいつ…一体何者だ…? 龍司が問うよりも早く、少年が口を開いた。 「…アンタ誰…?何故ここにいる?」 目の前まで来た少年は、持っていたナイフを龍司の喉元に突き出しながら睨んできた。 龍司よりも細身で、首に鉄製の黒い首輪をした血色の悪い肌の少年からは殺気が出ていた。 ―…なんなんだ、こいつ… 「おれはこの家に住んでいる女性の弟だ。…ここに来たのは、変な音がしたから…ただそれだけだ。――それで?お前は誰だ?」 喉元にナイフを突きつけられた状態のまま、金髪の少年を見下ろす。 このナイフの形… ネパール人が考案した戦闘用のナイフ…ククリナイフか…。 一振りで人間の首や腕を落とす事が出来ると言われている殺傷力が高いナイフ…。 俺とあまり変わらないこんな子供が、何故こんなナイフを持っているんだ? 「…この家の女性の弟?…おまえ、トモの奥さんの弟なのか?」 金髪の少年は驚いたような表情を浮かべた。 トモ…? まさかとは思うが、月嶋朋也の事か? 「あぁ。…それよりおれはお前の質問に答えた。お前は誰だ?名前を名乗れ。そしてここで何をしている。」 龍司は少年を見下ろしたまま低い声で訊ねる。 すると、突きつけられていたナイフが下ろされた。 「ボクは芹那(せりな)。この地下室で、トモに頼まれたドール達を管理しているんだ。」 「…は?」 トモに頼まれた…? ドール…? こいつ、何を言ってるんだ…? 腰のナイフホルダーにナイフを仕舞うと、金髪の子供―――芹名(せりな)(ようや)く口を開いた。

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