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※第12話
「なあ……いつまで……だ」
すっかり焦燥した表情で、工藤は拘束されたまま串崎から離乳食のような食べ物を与えられながら、問いをなげる。
一週間経ったころから、工藤は数えることも既にやめてしまったが、一ヶ月はここで過ごしている気がしていた。
性急ではないが、毎日必ずマッサージのように身体を弄られ続けている。無茶な行為とかはなく、あの小さいポンプで少しづつ内部を開かされている。
「そうねえ。ずっとここに居たいと思えるようになるまでかしらね」
「ンなの一生ねえよ……もう、十分だろう」
串崎のからかうような返しに、与えられる食事を飲み込みながら、ふうっと息をついた。
すでに体の方は串崎に屈服していて、脚を広げてねだれと言われれば、快楽に迷わずしてしまうくらいになっている。
「そんなこと言っているようじゃ、まだまだ完了とは言えないわね。まあ、言葉遣いは来たときよりも多少はマシにはなってるけれどね」
「せめて、もうコレは外してくれ。不自然な体勢で体が痛すぎるし、動かないと身体が鈍る」
まだ両腕についた手枷をじゃらじゃらとさせると、串崎は首を横に振る。
「まだ、それは早すぎるわ。外したら、貴方はアタシを殺して逃げそうだもの」
「ハッ、よくわかってんなあ」
すっかり串崎に慣れたのか、元よりもっている快活な笑いを浮かべて、まだムリだったかと呟いている。
「ちゃんと貴方が組長へのお詫びができるようになれば、解放してあげるわ」
食事を全部食べさせて、串崎はペットにでもするかのように工藤の頭をゆっくりと撫でる。
毎日のようにおこなわれる串崎の愛撫にも慣れたのか、工藤は触るなとも言わずにおとなしく体を預けている。
さきほど軽く小水もさせたので、日課どおりに工藤の肉茎の根元へとコックリングを嵌める。
アナルを拡張し始めた日から、工藤の身体に射精を禁じていた。
ベッドの上に乗りあげて脚をくいっと横に開かせると期待をしているかのように、入り口の隙間が小刻みにひくひくと蠢いているのがわかる。
「甲斐、そんなに穴をおっぴろげて期待してるなんて、そんなに触ってほしかったのね」
定期的に串崎の手に触れられることに慣れた身体は、待っていたとばかりに反応を始める。
「……生きてりゃ性欲は溜まン、だよ……俺の意思じゃねえ……」
ゴムの手袋を嵌めてゆっくりと淵を撫でるとたまらないように腰をすりつけてくる。
最近では工藤が自分から求めることも素直にしてくるのに、串崎は満足感を得ている。
ローションで手袋を嵌めた指を濡らしてから、ゆっくりと中に挿れるとマッサージをするかのように括約筋の周りを揉み解し始め、工藤は堪らないように腹筋を震わせて身を強張らせる。
「括約筋も大分柔らかくなってきてるわね。ここが柔らかくなれば、知識がない男にムリにされても、それなりに気持ちよくなれるわよ」
くちゃくちゃと指で拡がるようになった弾力のある肉輪を弄り回し、面白がるように工藤の顔を覗きこむ。
「ごちゃ、ごちゃ……。うる……せえッ……」
荒い呼吸を繰り返しながら、工藤は腰をぐっとあげて指を飲み込み、背筋を弓なりにぐいと反らせる。
内部を焦がしていくような熱は、じれったいように工藤の脳の芯までを痺れさせる。
毎日毎日繰り返される一連の動きで、暫くすれば理性を無くして串崎に縋らなければならなくなるのは分かっているのに、無駄な足掻きだと思いつつも罵倒せずにはいられない。
だとしても串崎のひとつひとつの動きが、工藤を痛めつけようとするのではなく、より男を受け入れやすい身体にするための行動であるのがわかるだけに、連れてこられた当初のような殺意は湧かなかった。
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