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別れ。
ロシュはそう自分に言い聞かせると立ち上がり、異空間から彼を元の世界へと戻すべく、意識を集中させた。
視界はまるで平衡感覚を失ったように溶け入り、混ざり合う。しかしそれも束の間。今ではすっかり見慣れたシングルベッドがある小さな部屋に立っていた。腕の中にいる華奢な肢体をそっと下ろす。手から離れるとまるで自分の肉体から一部が剥がれ堕ちるかのような鋭い痛みを感じるのはただの気のせいだ。
自分では彼らを守ってやることもできはしない。早く離れなければ彼ら親子のためにならない。
ロシュは目を閉ざし、眠っているベイジルから背を向けると、やがて深い闇へと溶け込み、消えた。
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