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契約不成立の代償。

 この契約が不成立ならば元の世界へは戻れない。  ともすれば、それはそれで構わないと、ロシュは思った。  第七監獄に戻れないならば、せいぜいこの地の美酒を楽しむまでだ。  自分は神である。たとえここが地獄の最果てであっても、はたまた天国であっても――どこであろうと、ロシュにとって別段気にすることではない。  バロン・クロアともあろう自分を脅すとは――これは神に対する冒涜(ぼうとく)だ。  傲慢極まりない振る舞いをするこの男はいったい何様のつもりだろう。 「――――」  ――やれやれ。  この男の傲慢さにはほとほと呆れる。  これ以上、この男と話せば怒り狂ってこの街をまるごと滅ぼしてしまいそうだ。  苛立ちが募るばかりのロシュはそれ以上何も言わず、この薄汚い地下室から背を向けた。

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