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情交
†
橙色をした薄明かりが頭上から照らされる。
ダブルベッドに転がるのは一糸も纏わない、しなやかな肢体だ。
彼は美しかった。
華奢な身体は無駄な肉付きがなく、色白な肌。細い腕と足。太腿の間にある彼はむくりと身を起こし、彼の下肢が蜜で潤っている……。
肢体のところどころにうっすらと青い打ち身があるのは気になるが、それもこれからはじめようとする行為に別段どうということはなかった。
彼の美しい肢体もさながら、しかし何よりロシュを虜にしたのは彼の目だ。
はしばみ色の目から恐怖は消え、その代わりに欲望の炎を宿して鈍く輝いている。
彼の目はロシュを魅了して離さない。
ロシュは手を伸ばし、横たわる艶やかな肢体を撫でた。
「ああ……」
すると彼の赤い唇からはいっそうの悩ましげな声を放ち、身を捩る。
長い睫毛が揺れ、頬にはいっそうの赤みが増す。
ロシュがツンと尖った胸の蕾を摘み、強弱をつけて弄ってやれば、屹立した欲望はさらに蜜を流す。
ロシュは彼の肌触りを愉しんでいると、その行為がじれったいと思ったのだろう。彼はロシュの下肢へ手を伸ばし、スラックスのジッパーを下ろした。
そうかと思えば彼は大きな口を開け、躊躇いもなくロシュの欲望を含んだ。
突然、欲望が熱くねっとりとした口内に誘い込まれたロシュはくぐもった声を上げた。
彼の口内で欲望は今にも弾けんばかりに膨れ上がっていく……。
しかし、ここで達しては愉しみは半減してしまう。
なにせ夜はまだ始まったばかりだ。
魅惑的な彼に出逢えた。どうせならこのひと時を心ゆくまでゆっくりと愉しみたい。
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