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魅了するは彼から放たれる強烈な香り

 こうしている間にも脳に直接甘い香りが注ぎ込まれてくるようだ。  自分たちは神々ではあり、アルファやベータ。オメガを創造した。しかし、オメガを見るのは初めてだ。  なにせオメガはアルファよりもずっと希少で、あまり出会すことがないのが事実だった。  頭の中が白く(かす)んでいく――。  まるで思考をすべて奪われていくようだ。太腿の間にあるロシュの欲望は膨れ、パンツスーツを押し上げている。  気を抜けばこの|忌々《いまいま》しい布の戒めを解き放ち、しなやかな下肢の間に打ち込んでしまいそうだ。  ロシュは歯を食いしばり、誘惑から堪える。  押し寄せてくる肉欲に抗う中、彼はあろうことかロシュの唇に貪りついたではないか。  ロシュの唇を貪る青年は艶やかな声を上げ、身体をくねらせる。  くぐもったその艶やかな声も、滑らかな肌も申し分ない。  ロシュはにやりとした。  ここで会ったのも何かの縁だ。  どうやら自分はついているらしい。  わざわざ今夜の相手を探す手間が省けた。  男はどうやら考え事をしていたロシュが気に入らなかったらしい。彼の舌が伸び、僅かに開いていたその薄い唇に差し込むと舌を絡めた。  ああ、彼との口づけもなかなか魅力的だ。  ロシュは彼を地面に押し倒す。  主導権を奪うと、艶やかな声を発するその唇に強く吸い付いた。  すると男はロシュから与えられる口づけをさらに欲する。彼の細い片方の腕が伸び、ロシュの下肢にある一物に触れた。

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