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虜。
これだけでは満足いかない。
ベッドに横たわる彼の身体をもっと暴いてみたい。
だからロシュは太腿をさらに割り開き、濡れそぼっている内壁に骨張った指を二本同時に挿し込んだ。
すると彼はさらに艶やかな声を上げた。
内壁が悦びに震えている。
中はロシュが思ったよりもずっと熱い。
内壁はロシュの指を抵抗することなく、するすると飲み込んでいくからたまらない。
身体はこの行為にすっかり慣れきっている。
それはおそらく今夜、青年二人に出会した以前にも誘惑し、抱かれたに違いない。
彼は自分以外の男にもその身体を明け渡したのだ。
ヒート状態に陥っているオメガは誰彼構わず相手を惑的する。ならば不特定多数の人間と情交しても決しておかしくはない。
しかし何故だろう。
ロシュの胸に、彼を独り占めしたいという願望が生まれていた。
他の人間より自分がいかに優れているかを彼に見せつけるため、ロシュは内壁を掻き混ぜる。
第一関節のそこにある凝りは前立腺だ。ロシュはそこに目を付け、執拗に擦った。
しかし、果てることは許さない。
強弱をつけ、達するか達しないかの瀬戸際を見極め、絶妙な技巧で前立腺を擦る。
その度に、彼の唇からは嬌声が上がった。
もっと愉しませて、彼がこれまで経験したどの相手よりも自分がどれだけテクニックがあるかを見せつけたい。
自慢ではないが、ロシュはこれまで数え切れないほどあらゆる種族と肉体関係を持ってきた。
人間はもちろん、悪魔に淫魔や天使。それに妖精 。
彼は男女関係なく、言い寄ってくるすべての生き物と回数を重ね、幾度も官能のひと時を味わってきた。
ロシュの洗練された男の色香は誰も彼をも魅了する。
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