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性。

 どうやらもうすぐ一夜が開けようとしているらしい。窓越しから空が白じんでいるのが見えた。  今にも明けそうな空に清潔な広い室内。そして傍らには、おそらくベイジルが誘惑したのだろう優れた芸術品のような美しく幻想的な男性が横たわっている。  ベイジルが身を起こせば、身体が恐ろしいほどの熱が持っているのがわかった。  太腿の間にある欲望は大きく膨れ上がり、はしたなく蜜を零している。  自分はなんと、未だにヒート状態だったのだ。 「やっ、どうしてっ!?」  昨夜もこのような状況に陥った。  おそらく、自分も隣にいる男性もベイジル同様、魅力的な身体を披露していることから考えて、二人は情を交わしたに違いない。  自分の傍らで眠る彼がおそらくはベイジルを組み敷いた何人、何十人かのうちのひとりだろう。  それなのに、一日も経たないうちに身体は飢餓状態に陥ってしまうなんて!  今までの経験からして考えられなかったこの情景に、ベイジルはすっかり身を強張らせた。  身籠もっているにもかかわらず、どんなに抱かれても満たされない肉欲。  自分の性が恐ろしい。  間違いない。ここはホテルの一室だ。  そして自分はこの男性に抱かれたのだ。  素性何も知らないこの男性に!!  その時だ。背後から男性の呻き声が聞こえてベイジルの身体が固まる。  どうやら男も目を覚ましたらしい。  未だに発情しているこの身体から、相手を惑的するフェロモンを出し続けていることだろう。  ――また、抱かれてしまう。

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