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危険なしごと。

 †  ロシュはミス・クランベルの情報を元にベイジル・マーロウの家を絞った後、いっそう高くそびえ立ったビルの屋上に降り立った。  リストに乗っている魂を見つけるかの如く、セントラルシティのあたりを、どこまでも見渡せるジェ・ルージュの瞳を凝らし、標的を探す。  しばらくしてようやく目的の人間を捜し当てることに成功したロシュは、口が弛むのと同時に顔を曇らせた。  それというのも、彼は長い棒状のブラシを持ち、煙突の上にいたからだ。  しかも煙突掃除は危険極まりないもので、命綱さえもない。  彼は赤ん坊を宿している。そのような身体であんな無茶をするなんて!  赤ん坊の片親はいったいどうしたんだろう。彼には頼る人間もいないというのか。  そういえば――と、ロシュはベイジルと情を交わした時、彼の太腿に真新しい青痣(あおあざ)があったのを思い出した。  ……なるほど。あの痣の原因はこれも含まれているということか。  自分の腹に宿った新しい命はおろか、自分の命さえも簡単に投げ出してしまうベイジルに対して、ロシュの中から怒りが込み上げてくるのを感じた。  するとロシュの感情を読み取ったかのように一陣の風が生まれた。  屋上の風は強い。彼の足下がふらついている。  それは昨夜、ロシュはこれでもかというくらい彼を組み敷いた。  おそらくは、彼に掃除をする体力は殆ど残ってはいまい。  ああ、言っている傍から華奢な身体が風に(あお)られて大きく揺れている。

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