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予期せぬできごと。

 シスターの言葉に驚いたのはベイジルだ。 「えっ? ぼくですか?」 「ええ、サムソンさんからそのようにお伺いしておりますが、何かありましたか?」 『何かありましたか?』だって? そんなものは大いに問題がある。なにせ自分は掃除夫で教会に勤めることになるとは今の今まで考えたこともなかったのだから!!  現に今、自分の服装といったら、埃まみれのベストにシャツ、バンダナに帽子。それに動きやすい茶色い靴といった軽装で、到底子供を見るような格好ではない。  たしかに、ベイジルは身ごもっている。しかし子供の世話の経験はない。  自分にはこの仕事を処理する方法を知らない。  ベイジルが抗議しようと口を開く。けれどもそれよりも先にロシュが動いた。 「いいえ、何も問題はありません」  彼はどういうわけか自分をここで働かそうとしている。自分の意見もおかまいなしに!  ベイジルはロシュを睨んだ。  もうこれ以上自分以外の誰かに舵を切られるのはまっぴらだった。  対するロシュは――というと、彼はもうすっかりベイジルを手懐けた気分なのだろう。至極満悦の(てい)だった。  極端に違う二人の反応を余所に、シスターはふたたび口を開いた。 「それはよかったですわ。なにせ人手不足で。お二人ともこちらで働いていただけるなんて嬉しいかぎりですわ!!」 「は?」  なんとも間の抜けた返事だ。  声を上げたのはロシュの方だった。  彼は数分前のベイジルと同じように眉間に皺を寄せ、口をぽかんと開けている。

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