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性懲りもなく。
ロシュから与えられる口づけにあわせて淫猥な水音とリップ音が生まれる。
そよ風がベイジルの上気した頬をなぜる。それがまた心地好い。
もっと彼を味わいたい。
ベイジルは小さく喘いだ。
どうやら彼もまたベイジルと同じことを望んでいるらしい。力強いその腕が華奢な腰を引き寄せた。
布越しからわずかに触れ合う反り上がった欲望は互いに硬さを増している。
下肢に生まれた甘い疼きが二人を襲う。
ベイジルの頭からは理性という思考は少しずつだが着実に剥がれはじめていた。
彼が欲しい。
ベイジルはロシュを深く望み、彼から与えられる快楽に身体を震わせ、とうとう両腕を彼の首に巻きつけた。それから今もさらに熱が増す持身体を彼に委ねようとした――その瞬間だった。
「君はおれを拒めない」
彼はベイジルを突き放すようにしてそう言うと、身体を離した。
薄い唇でベイジルを誘惑し、その気にさせたのはロシュの方だ。それなのに、これはなんという仕打ちだろうか。彼は呆気なく身を引いた。
ベイジルの方は――といえば、身体が焼けるように熱を持っている。
すっかりロシュの戦法に引っかかってしまったではないか。
――ああ、なんということだろう。
自分はまた、同じ過ちを繰り返そうとしていた。
思ってもみなかったタイミングでの拒絶がベイジルを絶望する現実へと引き摺り戻す。
頭から冷水を引っ被ったかのような衝撃を食らったベイジルは唇を噛みしめた。
ベイジルは彼から離れるよう命令すると、逃げるようにして美しいロマの元から去った。
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