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孤独。
昼下がりなのに室内は暗く、そういうことも相俟 って、まるで自分だけが取り残されたような気分になった。
やがてベイジルの中に生まれた不安は膨らみを増し、恐怖へと変化する。
どこからともなく入り込んできた冷たい風がベイジルの足をすうっと掠める。
無という空間が余計に恐怖を煽ってくる。
なぜ怖いと思うのだろう。
けれども恐怖は確実にベイジルの心を蝕んでいった。
常とは違う何かが今、ここにある。よくはわからないが、見えない何かが迫ってくるように思えた。
本能が危険だとベイジルに告げている。
ベイジルは押し寄せてくる恐怖に声を上げ、助けを求めた。
けれども自分は恋人や家族すらにも捨てられた。誰からの助けも来ないことは知っている。
深い悲しみと孤独。そして言い知れない恐怖がベイジルを襲う。
そんな中だった。
突然ベイジルの四肢がうつ伏せのまま広げられ、拘束されてしまった。
それぞれの両手足首が恐ろしく丈夫なロープのようなもので引っ張られるような感覚だ。抵抗しようにも身動きが取れず、部屋の状態さえもわからない。
身体が四方に引っ張られる激痛が全身を駆けめぐる。
たしか停電時に起こる犯罪率はぐんと上がるとテレビかラジオで聞いたことがある。
そういえば、家に戻った時、施錠はきちんとしただろうか。
答えは否だ。鍵を掛けた覚えがない。
相手を求めてしまう浅ましい自分の身体があまりにも悲しくてそれどころではなかった。
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