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いいえ、これで最後です。
甘い言葉で誘い込もうとしても無駄だ。もう二度と本気にするものか!
この与えられる優しさを思いやりだと思ってはいけない。なぜならスターリーから身をもって思い知らせてくれたのだから。
「また会えるかな」
男は甘い声で囁く。
「いいえ、これが最後です」
目を細めて微笑む男にぴしゃりと言ってのけた。
そのとたん、ベイジルの胸が痛んだ。
――なんということだろう。彼との情交を覚えていないのに身体が彼を求めている。それだけ身体は性欲に満たされたというのか。
そして心さえもこの男を捕らえておきたいと思っている。
……有り得ない。
こんなことをしていては自分の身がもたない。
ベイジル・マーロウ。君はもういい加減、理解すべきだ。
自分に十分な魅力が備わっていることを知っているアルファがオメガにもたらすのは災厄、ただそれだけだということを――。
ベイジルは生まれ出た自分の感情を抑え込むため首を振ると、ベッドの脇に放り投げられてあった衣服を拾い、身体を隠せる程度に手早く袖を通すと振り返りもせずその場を去った。
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