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おじさん
そう判断したベイジルは独りよがりになりかけた思考を現実世界に引き戻した。
「ほら、おちびさん。あんまりおじさんを困らせてはいけないよ」
ベイジルが高い高いをされている子供をロシュから受け取ると抱き寄せた。
「おじさんとはなんだ」
ロシュの隣に腰を下ろしたベイジルに、彼は片方の眉毛を上げている。
とても不機嫌そうだ。
しかし今の彼はどうやっても体裁ばかりを気にした自信過剰な男には見えない。子供たちの威力は絶大だ。
なぜなら、こうやっている間にも彼の頭やら肩には子供たちが群がっているのだから。
「この子たちから見れば貴方は暦としたおじさんだろう? 見た感じ、僕よりも年上そうだし」
くすくすと笑うベイジルに、ロシュは眉間に皺を刻み、呻り声を上げた。その声がまた可笑しいのか、子供たちは紅葉のような小さな手を叩きながら声を上げて笑う。
「……あの、昨日はありがとうございました。それからごめんなさい。貴方のことを誤解していました。子供受けがいいんだね」
子供たちのおかげで話しやすい雰囲気になった。
ベイジルは昨夜、付きっきりで傍にいてくれたこと。彼もまたスターリー同様に自分勝手な人間だという思い違いをしていたことをロシュに謝罪した。
彼は目を大きく開き、それから肩をすくめて見せた。
「ああ、いや。昨日の一件は気にしなくともいい。実際、今日のこれは――おれも知らなかった。今自分に驚いているところだ」
彼の仕草の何もかもにユーモアを感じる。ベイジルの唇が弛んだ。
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