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魅力的な。
「やれやれ、悪戯好きのゴブリンめ」
ロシュは今やべとべとに汚れたスーツを見下ろした。
「あのね、服装ももっと動きやすい方がいいよ。僕ら大人では考えられないことを彼らはやってのけるから。僕が勧める服装は、そうだな。例えば――」
ベイジルはポケットからハンドタオルを取り出すと、彼の胸元にべったりとついたよだれを拭ってやる。
――ああ、彼は何もかもが完璧だ。
スーツの上からでも感じる分厚い胸板に広い肩。それに尖った顎の先にある薄い唇。
ベイジルは今すぐこのたくましい身体に縋りつき、自らの唇で彼を塞ぎたくなった。
自分も子供になって抱きつきたい。
そう思ってしまうのは、昨夜彼が一晩中ベイジルを宥め続けてくれたからだ。
久しぶりに人の優しさに触れて安らぎを覚えた。
――いや、それだけではない。
身体が熱を持っている。
「君のような……」
うっとりと目を閉ざしていると、ベイジルが魅了されていた薄い唇が動いた。
驚いて顔を上げれば、彼の視線と重なった。
彼はコンタクトでもしてるのだろうか、赤い目はまるでルビーのように美しい。
ベイジルが抱え込んでいる不安も欲望も何もかも見透かすようなその力強い目から視線が外せない。
ああ、服が邪魔だ。このたくましい胸板に頬を擦り寄せ、彼がもたらしてくれる何もかもを堪能したい。
ベイジルはハンドタオルでうっとりとロシュの胸板を撫でた。
「ポロシャツとストレッチパンツ」
そう。彼が言うとおり、この服が邪魔だ。
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