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見知らぬ場所。
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気が付くと汚れ一つさえも見当たらない恐ろしく広い真っ白な通路に立っていた。それは大理石でできているようだ。高級感が溢れているものの、しかしとても冷ややかであたたかみはまるで感じられない。この先に、いったい何があるのだろうか。通路は恐ろしく長い。まるで永遠に続いているようでもあった。
ここは見たこともない場所だ。
ベイジルは真っ白な空間の中、ただただどうしたものかと立ち往生をしていた。
自分はたしかロシュと自分の部屋にいたはずだ。それなのに、ロシュの姿どころか自分の部屋さえもない。ベイジルは不可思議に思いながらもなぜか先へ進まなければいけない気がして、本能のまま先を行く。
歩いても歩いても、真っ直ぐ直線上に伸びる通路は終わりが見えない。
命尽きるまでこのまま歩き続けるのかと思いきや、しばらくしてひとつの巨大な漆黒に塗られた両手扉が現れた。
どうやらここでのたれ死ぬことだけはないようだ。
ベイジルはほっとひと息つくと、目の前に出現した扉を押し開いた。重々しい軋んだ音と共に中へ入る。すると、だだっ広い何も無い白ばかりが広がった部屋に出た。中心には腰が丸まった一人の老婆が杖をつき、立っていた。
いったい彼女はここで何をしているのだろう。
てっきりここには誰も住んでいないと思った。それくらい、人が住んでいる気配が無く、無機質な空間が続いていた。
それなのに、足腰を弱らせた七〇を過ぎた老婆が杖をつき、この場にいる。
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