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拒絶。
腰を持ち上げられ、後孔に指が一本、侵入した。
内壁を掻き分けながら最奥を目指して進む。彼の指にはベイジルが流した先走りの蜜を纏っている。ベイジル自らがこの行為を助けていることを知り、ますます自己嫌悪と気持ち悪さが襲う。
気持ち悪い。吐き気がする。
「中にも挿入して欲しいんじゃない? 風呂上がりだから? ゆるゆるじゃん」
「っひ、ああっ!」
それでもベイジルの唇は喘ぐのを止めない。
腰を揺らし、与えられるその指を内壁でしっかり咥え込む。
「っひぃん、あっ、っひ!」
前立腺を刺激され、擦られれば、喘ぎ声はさらに大きくなる。
青年の指が内壁を掻き出せば、その度に水音が発つ。
「すげ、ゆるゆる。そろそろ頃合いかな」
青年の固くなった肉棒がベイジルの後孔に当たった。すっかり固くなった亀頭が後孔を圧迫する。
貫かれる。
そう思った瞬間だった。ベイジルはこの行為の先にもの恐ろしさを感じた。
「っひ、いや! いやだああっ!!」
恐怖がベイジルを襲う。
これまで快楽に従順だった身体がここへきて心とリンクした。
ベイジルはうつ伏せだった身体を起こし、組み敷かれていた青年を振り払う。逃げ出そうと試みる。
今やベイジルが着ていたシャツは胸あたりまで捲れ上がり、ハーフパンツは下着ごと膝のあたりまでずれ落ちている。ベイジルの服は乱れに乱れていた。
この姿のまま外に出れば、他のアルファやベータに襲われる可能性がある。
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