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雄々しい獅子。

 ただでさえ、オメガは性の対象に見られてしまうばかりなのに、このような欲望を剥き出しにした状態のまま彼らの前に出れば、二次被害が待っているばかりだ。  たらい回しにされ、犯されるのは目に見えている。  けれども自分の姿を客観的に見ることができないほど、パニックが押し寄せていた。  ベイジルは手を伸ばし、ドアノブを回して青年から逃げようとした直後――。 「気持ち悦くなりたいんだろ、静かにしろ!」  青年はベイジルの腕を掴んだ。それでも足掻くベイジルを拳で殴ると、今度こそ雁字搦めにして細身のその身体を抑え付けた。  頬を思いきり殴られ、頭を打ち付けたベイジルはほんの一瞬、視界が真っ白になった。  軽い脳しんとうを起こしたらしく、ベイジルの思考が瞬間、飛んだ。  暴力を振るい、大人しくなったその隙に、青年の先端が後孔に触れた。  剥き出しになった陰茎がベイジルの後孔を貫く――まさにその時だった。 「最近のデリバリーはそういうものも含めているのか?」  ふいに頭上から声が聞こえたかと思えば、ベイジルの身体が軽くなった。  同時に青年の低い呻き声が聞こえた。  何事かと振り返り、顔を上げると、そこには漆黒のスーツに身を包んだ凛々しいロマの男が青年を拘束しているではないか。 (ロシュ!)  見知った彼の姿をひと目見たベイジルは安堵し、目から涙が溢れてくる。 「とっとと失せろ、目障りだ」 「っひぃいいっ!」

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