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unlike.
低い、威嚇するような声は、まるで縄張りを荒らされて怒れる雄々しい獅子だ。ロシュに恐れを抱いた青年は転がるようにして尻尾を巻いて逃げていった。
「ロ、シュ……」
ベイジルが名を呼ぶと、彼ははっとしたように視線を向けた。
「くそっ! なんてことだ。奴は暴力まで振るったのか!!」
ベイジルの頬には殴られた痕がくっきり残っているのか、それを目にした彼は、青年をいくらか罵った。
たくましい身体が強ばり、拳はきつく握られている。
すべてはベイジルの身に降りかかった出来事だ。それなのに、自分のことのように怒るロシュの態度に、ベイジルの恐怖で固まっていた心臓はふたたび鼓動する。息を吹き返した。
彼は自分の身体を欲しがっているものの、けれども性欲処理の道具のようには見ていない。
そのことが何より、ベイジルは嬉しかった。
「ロシュ……」
ベイジルが手を伸ばし、彼に縋ると、しかし彼はその腕で抱き締めてくれた。
たったそれだけで、悲しみに染まっていたベイジルの胸が息を吹き返し、あたたかくなる。
「すまない、遅くなった」
嗚咽を漏らし、涙するベイジルに、ロシュは静かに答え、恐怖で震えているその背中を撫でた。
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