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普段から何を食べているの?

 ピザが嫌いな人間なんているのだろうか。  ベイジルは(いぶか)しがりながらも尋ねた。 「いや、そういうわけではないんだが……どうも食い慣れない物だっただけだ」 「そう、なの?」  食べ慣れないとはどういうことだろう。  果たして彼は普段から何を食べているのだろうか。  ベイジルの頭にふと疑問が過ぎる。 「さあ、今度は君の番だ」  首を傾げるばかりのベイジルに、ロシュは華奢なその腰に腕を回し、引き寄せると自らの膝の上に乗せた。  そのとたん、ベイジルは短い声を上げた。  いくら自分から誘ったとはいえ、これから抱かれるかもしれない男性の膝の上に乗るなんて恥ずかしい。ベイジルは身を引こうとするが、彼のたくましい腕が腰に回ったきり離そうとしない。 「あの……ロシュ」  どうするべきかと考えあぐねいていると、平らな箱が引き寄せられた。食べろと暗に促され、ベイジルは唇をツンと尖らせながらも一切れを口に入れた。  ほんの一口でも食べ物を口に入れれば、空腹だったのか、ベイジルの手は止まらない。あっという間に一人ですべてを平らげてしまった。 「あの、ピザが無理なら何か他に用意しようか?」  ひょっとすると、もう食事を済ませた後なのかもしれない。  ベイジルはそう思いながらも尋ねると、ロシュは静かに首を振った。 「いや、その必要はない。食い物なら目の前にある」  質問の回答からして、どうやら食事はまだらしい。  彼が差す食事とはおそらく自分のことだろう。

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